2013年7月2日火曜日

雑記・その11 【プロコフィエフ、トッカータ・作品11の省略について】

 久方ぶりの投稿ですが今回もCDレビューではなく雑記の第11弾です。なお、雑記の11回目にプロコフィエフのトッカータ・作品11を取り上げるのは全くの偶然で、他意は全くございません(ホントに)。


 さて、この曲を色々な演奏で聴いていると、稀にですが後半のかなりの部分がカット(省略)されている演奏に出くわす事があります。私の手持ちのCDをザッと調べただけでもカットしている録音がコレだけありました。

■ホロヴィッツ、1947年・RCA盤
■デミジェンコ、1997年・hyperion盤
■テベニヒン、2011年・Piano Classic盤



 で、具体的にドコがどの様にカットされているかですが、この曲の最も有名な録音であると思われるアルゲリッチ盤と、上記のホロヴィッツ盤のCDタイムを比較しつつ詳しくお伝えしようと思います。


その1
 アルゲリッチ盤=2:57辺り、ホロヴィッツ盤=3:02辺りからですが、「ジャジャ!タラタタタタ、ジャジャ!タタ、ジャジャ!タタ…」のあと、左右のパートが反行していきます。

その2
 アルゲリッチ盤=3:02~3:06辺り、ホロヴィッツ盤=3:07~3:11辺りから、「タータータータタ、ラーラーラーラー、タータータータタ、ラーラーラーラー、」と曲の前半に出てきたフレーズを再現します。




                                 その直後…、

その3
 アルゲリッチ盤は3:06から左手の半音階が印象的なパートに突入しますが(1:23からのパートの再現ですね)、

ホロヴィッツ盤=3:11~は上記のフレーズを弾かずにソレまでと同じ様なフレーズを弾いており、その少し後=3:16辺りで「レ」の連打(冒頭の再現です)に突入しています。ホロヴィッツ盤よりも速めのテンポを採用したアルゲリッチ盤が「レ」の連打に突入するのは3:22からですから、かなりの省略が行われているのが分かると思います。

では、一目で判るように大きな楽譜で再確認をしてみたいと思います(開いた画像をクリックすると拡大されます)。

飛ぶ直前のフレーズと飛んだ先のフレーズが似ているためかなりスムーズに繋がっていますよね。


 さて、先に挙げた3名の奏者が同じ省略をしている事を考えると、その様に弾くよう書いてある版があるかもしれません。
ちなみにYoutubeでプロコフィエフの自演(と書いてある音源)があったので聴いてみると、ホロヴィッツなどと同じ様に省略していました。





                   何で?


・追記

Youtubeでこの曲を色々聴いていたらカットを行っている演奏の動画があって、そのコメント欄でも当該部分のカットの事が話題になっているようですが(評価の高いコメントの所に掲載されています)、残念ながら詳しい事はわからないようです。