2013年10月28日月曜日

雑記・その13 【ペライアBOXの不良品取替えの件等など】

 かなり前にこのブログでも紹介したペライアの巨大BOXですが、ベートーヴェンのピアノソナタ第11番(CD16)の第一楽章の冒頭に欠落があるのと(聴き流していたせいか気付きませんでした・・・)、シューマンのピアノ協奏曲などが収録されているCD52の音声データが左右逆に収録されるミスがあるとの事で、日本国内で購入した人はソニーにCDを着払いで返送すれば良品と交換する措置をとるそうです。
 期限が2014年2月末日とか送る際にはCDその物のみを送って紙ジャケは手元に置いておくなどの条件等があるようですので、詳しくはソニーのこのページを御覧下さい。




 話は変わって、最近もピアノ曲マニアにとって興味深いCDが次々と登場しています。

 まずは何と言っても「リゴレット・パラフレーズ」や「ドン・ジョヴァンニの回想」が収録されているロルティのリスト・オペラ編曲集。なぜこの時期にリスト作品の中でも屈指の難曲として名高い「ドン・ジョヴァンニの回想」を録音しようと思ったのか疑問は残りますが(基本的には指が回ってナンボの技巧をひけらかす曲ですから)、単純に現時点でのロルティのメカニックがどれ程なのかをある程度うかがい知る事が出来る選曲と言う点では非常に楽しみです(加齢による技巧の低下を心配する方もいるかもしれませんが、大昔の奏者に比べると最近の奏者のソレはかなりマシな場合が多い気がしますが)。

 また、ヴェネツィア・レーベルから発売されたペトロフの演奏をまとめた13枚組のかなり大きなBOXも発売される予定で、内容は以前紹介したこのBOXに含まれる録音の他にプロコフィエフのピアノソナタ全集なども含まれる盛りだくさんの内容となっているようです。

 他にもパッと思いつくものだけでもルガンスキーのグリーグ・P協奏曲&プロコフィエフ・P協奏曲第3番や、ユジャ・ワンのライヴ録音によるラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番&プロコフィエフ・ピアノ協奏曲第2番、エル=バシャの2回目となるベートーヴェン・ピアノソナタ全集、アムランのブゾーニ・後期ピアノ作品集などがあります。

 で、私が現時点で聴いたのはユジャ・ワンの新譜のみですが、それについて少し感想を。

 彼女が得意(そう)な小回りが要求される高速の単音中心のパッセージ、例えばラフマニノフなら第2楽章のこの辺りから続く急速な細かいパッセージなどはライヴ録音ながらもかなりビシッと決まっていますが(拍のアタマに強めのアクセントを付けて他はチョコチョコと若干不明瞭に弾くいつもの癖は見られますけど)、分厚い和音、特に素早い和音連打の際は(ラフマニノフなら例えばこの辺りからとか)、かなりの強打はしているもののテンポの速さも相まって和音のキャッチが甘くなり、ムラ無いキレイな和音の響きが今一つ再現できていません。ただこれはこの録音に限った事ではなく、彼女の演奏全般に言える事ですけど(手の大きさ等のハンデもあるでしょうが)。
この点を鑑みると、ラフマニノフの第一楽章で通常のカデンツァを採用したのは賢明な判断だと思います(単にホロヴィッツの影響?)。

 プロコフィエフは人気のある3番ではなく2番を弾いていますが、ライヴゆえに少々荒っぽいフレーズの処理や打鍵が散見されます(曲調に合っていると言えばそうですが)。第一楽章のカデンツァも良いように言えば即興的、悪く言えばかなりラフな演奏ですが、このカデンツァはスタジオ録音でもかなりアレな演奏が多い中、ライヴでコレだけ弾ければ上出来だと言えるレヴェルでしょう。

 全体としては良い意味でも悪い意味でも十分な疾走感を感じさせるいつも通りのユジャ・ワン節で、ファンの方なら満足する内容かと思います。
あと余談になりますが、彼女のCDのジャケットはこれまでもかなりアレでしたが今回はさらにパワーアップしていて、ここまで来ると何かのネタか罰ゲームとしか思えない突き抜けっぷりです。






誰か注意してあげればよかったのに。


 

2013年10月4日金曜日

雑記・その12 【ペライアのショパン・エチュード集の「木枯らし」に1小節の欠落があるとか無いとか】

 このブログをご覧になる方なら、伝統あるクラシック音楽雑誌のレコード芸術に「ピアノ名曲解体新書」と言う連載があるのを御存知かと思います。内容は、協奏曲を含むピアノ曲を毎回一曲ずつ取り上げて楽譜なども添付しながらかなり詳細に解説するコーナーや、取り上げた曲のお勧めCDを数枚紹介するコーナーがあります。

 さて、その連載で今月号(2013年10月号)に取り上げられた曲が「ショパン:練習曲集Op.10&25」なんですが、CD紹介の所でペライア盤が挙げられていて、その紹介文の中に「『木枯らし』で編集ミスにより一小節の欠落がある」と言う内容の一文がありました。
 具体的に「○分○○秒あたりで欠落がある」とか「○○小節目が欠落している」と言う記述が無かったので、「そんな所あったっけ????」と思いつつ手持ちの音源を最初から最後まで聴き直してみたところ、やはりソレらしき箇所はありませんでした。
ただ、私の手持ちCDは輸入盤なので、もしかすると記事を書いた方がチェックしたのは国内盤で、国内盤のみにその様な箇所あったのかもしれませんが、憶測の真偽の程はともかく、ある録音に対して「○○の欠落がある」とか「ミスタッチがある」などと指摘する場合は誰でもすぐに指摘の正誤が検証できるよう出来るかぎり「何分何秒あたりの所」や「○○小節目」と具体的に記述して欲しいと思うのですが。


 上記の箇所を取り上げたついでと言ってはなんですが、もう1点だけ。
数ヶ月前(2013年8月号)のその連載で取り上げられた曲は「スクリャービン・ピアノソナタ集」だったんですが、CD紹介コーナーのアシュケナージの全集の記事の中でグレムザーの録音が「全集」として言及されていましたが、これは明らかな事実誤認です。彼はまだ1・4・8番を録音していません(とっとと録音して欲しいですけど)。




 最後に、今年はまだCDレビューの投稿が1件のみなので、今年中に何とかもう一つ位は書ければなぁ~と思っている他に、プロコフィエフとスクリャービンのソナタ全集は何とか取り上げたいものの、一曲ずつ事細かに書くと時間が掛かってしょうがないので、何種類かの全集の大まかな寸評のみでも御紹介が出来ればいいなぁ~と思っています。