2011年9月14日水曜日

シフラ 【ショパン:練習曲・作品10&作品25】

今回はショパン・練習曲のレビューをやろうという事で「誰のCDにしようかなぁ。やっぱりポリーニだよなぁ」と思ってみたものの、二日前に取り上げたばかりなので他の人にしようって事になり、次にパッと思い浮かんだジョルジュ・シフラ御大の演奏を取り上げる事にしました。



 さて、シフラの演奏は基本的に余り好きではない私ですが、この演奏は結構好きな演奏だったりします。
 実を言いますと、前回のレビューでアムランの演奏にあれこれ文句(?)を言った手前、このシフラの演奏に対して「すばらしい!」などと言ってしまうと、ここを御覧になる方達に「一体何を基準に聴いてるんだよ!」と思われる可能性もある訳ですが、ここは開き直って気楽に書こうと思います。

 私の考えとしては、この演奏に対して「荒い」とか「無茶苦茶だ」と突込みを入れる事は、例えるなら、教室でお笑い好きの学生が教科書を上下逆さまに読んでいるのを見て「おい!それ、逆だよ!」と突っ込みを入れるみたいなもの(?)だと思う訳です。

 細部の描きこみを捨てて速さをとにかく追及した感のある10-1や10-5、高速ですっ飛ばしていく中でもこれ見よがしなアクセントや強打で聴く者を色んな意味で唖然とさせる10-4や10-8、イケイケ(?)なオクターブの部分と中間部の巧みな歌い回しの対比がいかにもシフラっぽい25-10、乱暴な扱いによく堪えたピアノを誉めたくなる25-11&25-12など等、どこをとってもシフラ節、まさに、シフラ節の金太郎飴状態と言える仕上がりとなっております

 欠点を挙げればキリが無い録音ですが、「結構上手い」程度の録音ではすぐに忘れ去られてしまう位に競合盤の多いショパン・練習曲全集のCDの中で、この演奏は良くも悪くも人々の記憶に残る演奏と言えます。


【採点】
◆技巧=野暮な事は言いっこナシ
◆個性、アクの強さ=100
◆インパクト=200